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骨髄異形成症候群(MDS)の基礎知識
【myelodysplastic syndromes : MDS】

骨髄異形成症候群(MDS)とは

骨髄で血液細胞を生み出す細胞(造血幹細胞)に異常が生じて形がいびつな血液細胞が作られること(異形成)と、 正常な血液細胞(赤血球、白血球、血小板)の数が減少することを特徴とする病気です。
赤血球が減少すると…
⇒貧血、めまい、だるさ、動悸、息切れなどの症状が出る
白血球が減少すると…
⇒感染が起こりやすくなり、発熱を伴う
血小板が減少すると…
⇒血が止まりにくくなる、出血しやすくなる
 
  • このような症状がみられますが、症状の程度は患者さんによってさまざまです。
    また、骨髄異形成症候群の中でも病型が分かれており、同じ病型であっても病気の進行具合、治療の効果などが大きく異なる場合があることがわかっています。

  • 骨髄異形成症候群の影響により細胞の分化能が低下していった場合、正常な血液細胞が作られにくくなり、未熟な血液細胞(芽球)が増加していきます。

    経過中に芽球の増加によって骨髄異形成症候群の患者さんのおよそ3割は、
    急性骨髄性白血病(AML)
    と区別できない状態となります。

Point ポイント

●骨髄異形成症候群は血球減少を示すことが多く、その症状の程度や骨髄異形成症候群の病型についてはさまざまです。
●経過中に正常な血液細胞にはほとんどない未熟な血液細胞(芽球)の比率が増加し、急性骨髄性白血病と区別できない状態になる場合があります。



骨髄異形成症候群(MDS)の発症

造血幹細胞が腫瘍化して骨髄異形成症候群が発症するとされていますが、明確な発症原因がない骨髄異形成症候群が多数を占めています。

最近では、肺がん、リンパ腫などの治療(抗がん剤、放射線)により幹細胞が傷ついてしまい、 治療後5年前後で発症する二次性の骨髄異形成症候群が確認されているほか、 一部の稀な先天性疾患(Diamond Blackfan貧血など)の影響による骨髄異形成症候群も存在します。
  • 全症例中の約10%が治療関連の二次性の骨髄異形成症候群とされており、 悪性リンパ腫の治療後の例が多く、血液疾患の治療後や、固形がんの治療後にもみられています。

  • 骨髄異形成症候群は高齢者に好発し、診断時の平均年齢は70歳前後となっています。
    欧州の発症頻度:70歳以上の年齢層10万人当たり 20〜50人/年
    米国の発症頻度:65歳以上の年齢層10万人当たり 75人/年

    高齢化が進んでいる日本で米国の発症頻度を適用すると
    毎年2万人以上の骨髄異形成症候群患者が新たに発症していることとなり、
    現存する患者数は10万人をゆうにこえるであろうと予想されます。

Point ポイント
●主に、骨髄異形成症候群は発症原因の不明なものと、抗がん剤や放射線療法に続発するものがあります。
●骨髄異形成症候群は高齢者に好発し、骨髄系腫瘍の中で最も多いものです。


骨髄異形成症候群(MDS)の病型

骨髄異形成症候群は、骨髄中の芽球の割合(芽球にはリンパ芽球と骨髄芽球があり、骨髄異形成症候群で増えるものは骨髄芽球です)、末梢血の芽球の割合、異形成の程度などによって、いくつかの病型に分けられています。

下記の表は病型を決定する際の概略で、実際には末梢血の芽球%などを含め、もう少し細かく規定されています。



分類の見方

芽球……骨髄に未熟な細胞がどれぐらい存在しているか
⇒5%を超えると芽球の多い骨髄異形成症候群に分類されます。20%以上は急性骨髄性白 血病(注1)と診断され、5%未満の場合は環状鉄芽球、形態異常の状況で病型を決定します。


環状鉄芽球……赤血球を作る赤芽球と呼ばれる細胞に見られる異常
⇒15%未満、15%以上であるかを確認し、さらに形態異常の状況で分類を判断します。


形態異常……顕微鏡で確認できる細胞の形の異常
⇒赤血球系、顆粒球系、巨核球のいずれかあるいは複数の細胞系統に形態異常が発生しているかを確認します。

※芽球が少なく、骨髄細胞の染色体検査で問題がない場合、骨髄異形成症候群の診断が難しい場合がしばしばあります。

注1:発症時に骨髄芽球の割合が20%を超えている場合は、de novo AML (de novo急性骨髄性白血病)と診断されます。
De novoとは「始めから」という意味で、始めから芽球比率が高いde novo AMLは芽球の増殖速度が速く、通常、早期に治療を開始する必要があります。

一方、骨髄異形成症候群でも経過中に芽球比率が20%を超えることがあり、骨髄異形成症候群の白血化と呼びますが、芽球の増殖速度はしばしば緩やかです。

従って、東京血液疾患診療所では、骨髄異形成症候群が白血化した場合とde novo AMLとを明確に区別し、全く異なった治療を行い従来にはない良好な成績を収めています。
Point ポイント
●病型に加え、患者さん個々の症状を十分に考慮し、適切な治療を行うことが重要です。

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